
「病気になったら病院へ行く」だけではなく、地域とのつながりや人との交流が、心と体の健康につながる。そんな考え方が、近年注目されている「社会的処方(Social Prescribing)」です。
南港病院グループでは、「地域とともに生きる病院」を目指し、医療だけではなく、地域で安心して過ごせる居場所づくりにも取り組んでいます。その一つが、寿楽温泉で開催している「旅する温泉音楽会」です。

2026年6月26日に開催した旅する温泉音楽会は、台風前の大雨というあいにくの天候でした。
そんな中、近隣でカフェを営む赤ちゃん連れのご家族が来場されました。
「雨で公園へ行けなくて困っていたけれど、近所で無料の生演奏が聴けるなんて嬉しい。」
そんな言葉をいただきました。
一般的に、赤ちゃんも参加できるコンサートは有料で開催されることが多く、気軽に参加できる機会は決して多くありません。
演奏中には、トランペット奏者の瀬戸さんが赤ちゃんの目の前まで歩み寄り、優しく演奏する場面もありました。ライブならではの距離感に、赤ちゃんも興味津々。さらに出演者のお子さんが一緒に遊ぶ姿も見られ、自然と笑顔が広がる時間となりました。

旅する温泉音楽会には、毎月参加してくださる親子もいます。
「娘が月末になると『ワインガーデンに行きたい』と言うんです。」
そんなお話も聞かれました。
イベント会場では、大きなテーブルで賑やかに過ごす方もいれば、奥の二人席でゆっくり音楽を楽しむ親子もいます。
誰かと交流したい人も、一人で静かに過ごしたい人も、それぞれのペースで居られることも、このイベントの特徴です。

社会的処方とは、薬や治療だけでは解決できない孤立や不安、地域とのつながりの不足といった課題に対し、人や地域資源とのつながりを紹介する考え方です。
銭湯という場所には、もともと世代を超えた交流が生まれる力があります。
そこへ音楽や食事が加わることで、
そんな小さなつながりが生まれています。
これも、地域資源を活用した社会的処方の一つの形と言えるのではないでしょうか。

旅する温泉音楽会は、ワインを楽しむイベントであると同時に、人と人がつながる地域の居場所でもあります。
親子連れや地域住民の参加が増えていることは、銭湯を知っていただく新たなきっかけにもなっています。
南港病院グループは、診察室の中だけで健康を支えるのではなく、地域の中で人が笑顔になれる場所を増やしていくことも医療の役割の一つだと考えています。
これからも寿楽温泉をはじめとする地域の拠点を通じて、「地域とともに生きる病院」として、人と人とのつながりを育む取り組みを続けてまいります。
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