社会医療法人 三宝会 南港病院

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津波発生時の避難は「遠く」より「高く」

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2025/08/01

浸水リスクを抱えるなかで防災対策について考える

7月28日(月)の朝日新聞の第一面に掲載された特集記事「南海トラフ津波被害 国の新想定」によると、今年3月、国は約10年ぶりに南海トラフ巨大地震が発生した際の浸水区域などの被害想定を見直し、朝日新聞がこれらのデータをもとに分析したところ、全国で約2,300の医療機関と約7,300の福祉施設が津波で浸水するおそれがあることが分かりました。

病気やけがをしている患者様や施設利用者である高齢者といった“災害弱者”の避難への課題を抱える現場の声として、記事のなかで南港病院が取り上げられました。

5階建ての当院は、南海トラフ地震発生時に「50㎝~3m」の浸水リスクがあるとされていることについて、同紙のインタビューで当法人の伊藤正法人本部長は次のように話しています。

「水と共に生きてきた地域ゆえに津波による浸水リスクは想定内。対策にさらに力を入れていく方針です」

その言葉通り、現時点では津波発生時には2階病棟の入院患者様(36人)と1階にいる外来患者様を3階以上に「垂直避難」させる計画です。過去の防災訓練では、寝たきりの患者様1人を階段で運ぶには「職員4人で約10分かかる」とみており、職員による「人海戦術」で時間の短縮を図ることを課題としています。

過去の防災訓練で実施した重篤な患者様の「垂直避難」

新病院開設に向けて防災対策の強化を図る

1971年に開院した当院の建物は現行の耐震基準を満たしていないため、2026年11月に開院予定の新病院「南港ユマニテ病院」を建設中です。6階建ての新病院は1階の高さをより高くして病床は3階以上に設置、こうすることで新病院では垂直避難は不要になる見通しです。

ちょうどこの原稿を作成していた7月30日、ロシアのカムチャッカ半島付近で巨大地震が発生した影響で、日本でも各地の沿岸で津波警報が発令されました。これを受け、当法人では各部署で職員の安否確認や備蓄のチェックなど、BCP(事業継続計画)や防災訓練に基づいて迅速な行動に移しました。

今後も当法人では災害時に患者様や施設利用者様、そして職員の命を守るためにハード&ソフトの両面の整備を図り、防災への意識を高めていく構えです。