「リフレクティング・チーム」という新しい“対話のかたち”
医療の現場では、患者さまやご家族の想いをどれだけ丁寧に受けとめられるかが、とても大切です。
当法人では、家族療法やオープンダイアローグなどの対話的アプローチを取り入れていますが、
その中心となるのが 「リフレクティング・チーム」 という方法です。
■ リフレクティング・チームとは
患者さまやご家族の語りを、複数の専門家が静かに聴き、
その受けとめ方を 目の前で言葉にしてお返しする 対話の方法です。
評価したり結論を押しつけたりするのではなく、
- 「こんな見方もあるかもしれない」
- 「こうも捉えられるのでは?」
と、そっと視点を差し出します。
専門家のやり取りを患者さまがそのまま見てよい、という “オープンさ” が特徴で、
その場に安心と信頼が生まれます。
■ どんな変化が生まれるのか
従来の医療では、「正しい答え」を見つけようとしがちでした。
しかしリフレクティング・チームに触れると、
答えは一つではなく、多様な見え方があってよい という感覚が広がります。
ご家族からは、
- 「気持ちが少し軽くなった」
- 「言葉にできなかった思いを代わりに見つけてもらえた」
- 「家族で話す時間が前より優しくなった」
などの声が寄せられています。
こうした積み重ねが、やがて ご家族自身が自分の言葉で語り直す力につながります。
■ 倫理と人間性を大切にする医療へ
私たちの医療の原点は、
診断や治療の前にまず 「人と人が出会う」 ということです。
リフレクティング・チームは、その理念を形にしたもの。
一人ひとりの物語を尊重し、答えを押しつけず、共に考えるための方法です。
2026年開院予定の 南港ユマニテ病院 でも、この対話を中心に据え、
患者さまにとっての “心の安全基地” をつくっていきたいと考えています。
患者さまやご家族が語ってくださる言葉には、その方の人生がつまっています。
その物語を大切に聴き、共に歩む医療でありたい——
そのための鍵が「リフレクティング・チーム」です。
これからも、対話を大切にした医療・ケアを丁寧に育ててまいります。