学研テレビ「人生100年!大人カフェ」出演 〜地域にひらかれた病院をめざして〜

先日、学研テレビ「人生100年!大人カフェ」(MC:安藤優子さん)に出演させていただきました。
番組では、私たち南港病院が長年取り組んできた**「社会的処方」の活動や、これからの時代に必要とされる「地域医療のあり方」について、安藤さんと深く語り合うことができました。 今回のブログでは、放送でお話しした内容や、そこに込めた私の想いを改めてお伝えしたいと思います。
「メスだけでは人を幸せにできない」
私はもともと、外科医として医療の道をスタートしました。 しかし、日々の臨床を重ねる中で、ある思いが強くなっていきました。 「手術で悪いところを切除しても、それだけでは患者さんを本当の意味で幸せにはできないのではないか」と。
医療とは、単に病気を治すだけではありません。その人が再び前を向く力を取り戻す支えであるべきだ――。 そんな想いから、現在は心療内科外来も担当し、地域にひらかれた医療の実現を目指して活動を続けています。
コロナ禍で生まれた「希望の物語」
2020年、新型コロナウイルスの感染が拡大した当初、南港病院はいち早く発熱外来を立ち上げました。 見えないウイルスへの不安の中にいる地域の方々に寄り添い、スタッフ全員が一丸となって立ち向かう中で、私たちは一つの理念に辿り着きました。
「We can do it, anything is possible. 素晴らしい対応と優しさで幸せの物語を作ろう」
この言葉は、これからの南港病院の指針として、私が最も大切にしている言葉です。
安藤優子さんも注目された「社会的処方」
番組の中で特に深く掘り下げていただいたのが、北加賀屋の**「寿楽温泉」を拠点とした「社会的処方」**の取り組みです。
薬を処方するだけが医療ではありません。 孤独や生活の悩みといった、医療だけでは解決できない課題に対し、**“人とのつながり”や“地域の活動”**を処方する。それが社会的処方です。
寿楽温泉では、入浴だけでなく以下のような活動を行っています。
・訪問看護師による健康相談室
・いきいき百歳体操
人が自然に出会い、会話が生まれ、孤独がやわらぐ。銭湯そのものが地域の健康を支える拠点になっています。
2026年、新病院「南港ユマニテ病院」への挑戦
そして番組では、私の大きな夢である新病院構想についてもお話ししました。 現在の取り組みをさらに発展させるため、2026年11月に「南港ユマニテ病院」を開設予定です。
「ユマニテ(humanité)」とは、フランス語で「人間・人間性」を意味します。 目指すのは、「病院らしくない病院」です。
人が集まり、心がほどける場所へ
新病院には、医療機能だけでなく、地域の方が気軽に立ち寄れる空間を作ります。
・地域の人が集う まちライブラリー
・薪ストーブのある カフェ
・アロマトリートメント や 心理カウンセリングルーム
総合的な医療体制と「ユマニチュード」
内科・外科をはじめ、産婦人科や精神科外来など幅広い診療科を標榜し、がん化学療法室や温熱療法室も備えます。未病ケアから救急まで、地域を丸ごと支える体制です。
そして何より大切にするのが、フランス発祥のケア技法**「ユマニチュード」**です。 “優しさの伝え方”を全職員が学び、実践することで、患者さん一人ひとりの尊厳を守り抜く病院にしていきます。
100歳の自分へ贈る言葉
番組の最後、「100歳の自分にどんな言葉を贈りますか?」と問われ、私はこう答えました。
「生きている限り、病気や怪我、そして死は避けられません。私自身も3年前に膀胱がんの手術を経験しましたが、何が起こるかわからないのが人生です。」
そのうえで、私には2つの夢があります。
1.トライアスロン・アイアンマン世界大会(ハワイ)に出場すること
2.住之江区のみんなが笑顔でつながる中心に“南港ユマニテ病院”があること
100歳になった自分には、「あんた、よく頑張ったね」と伝えたいですね。
医療も、介護も、そしてスポーツも。すべては「人と人とのつながり」の中で成り立っています。 これからも地域の皆さんと共に、夢を追い続けていきたいと思います。