「職員紹介」 一般病棟・介護士(ケアギバー)

2024年4月30日

介護福祉士
猪崎 集也

患者様との間に「ありがとう」が行き交う。
20年、介護士を続けてこれた理由です。

★なぜ、介護の仕事に就こうと思ったのでしょう?

小学生の頃、母が小さなグループホームで働いていました。
毎日ほんとうに楽しそうにしていました。母のそんな姿を見て、将来は自分も人のお世話をする仕事をしたいと考えたのです。
合わせて、当時、人見知りに悩んでいて。人と接することでその性格を克服できるんじゃないか。新しい自分に生まれ変われるんじゃないか、と思いました。

★南港病院を選んだ理由を教えてください。

家の事情もあって、中学卒業と同時に働こうと考えていました。
介護の仕事に就きたかったのですが、中卒で雇ってくれるところもなくて…。
なんとか建築会社に就職しました。でも、仕事中に倒れてしまったのです。
小さい時から悩まされてきた不整脈のせいでした。入院するとブルガタ症候群であることがわかり、ペースメーカーを入れることに。その結果、電気工具を使う仕事や高所での作業ができなくなり、会社をやめざるを得なくなったのです。
家計を助けようと就職したはずなのに、入院することで逆に迷惑をかけることになってしまい途方にくれました。そんな中で唯一の支えとなったのが、建設会社で働きながら取得した「ヘルパー2級」の資格でした。
そこから職安通いが始まりました。病院や介護施設を何十社受けたかわかりません。
当時は中卒でペースメーカーを入れているということで、どこへいっても不合格に。
そんな中、南港病院だけが就職を認めてくれた。ここが手を差し伸べてくれなかったら、働くことなんてできなかった。今でもそう思っています。感謝しかないですね。

★念願かなって介護職に就いたわけですが、
 患者様と接する際に、大切にしていることは?

感情的にならないように心がけています。常に穏やかな気持で、笑顔でいるようにしています。なぜかと言うと「自分が楽しそうにしていたら、相手もきっと楽しくなる」。そう信じているからです。
私が人見知りだったため、どうすれば他の人から好かれるようになるのか、話しかけてもらえるようになるんだろう、とずっと考えてきたんです。
笑顔で接したら、イヤな気分だった人も少しは癒やされるんじゃないか。
患者様はもとよりスタッフとの間にも、接しやすい雰囲気が生まれるように、日頃から意識しています。


★介護士という仕事の魅力は、どこにあると思いますか?

やはり「ありがとう」というひと言をいただけた時でしょうか。
この仕事をやってきて良かったというやりがいを感じます。同時に、こちらこそ「ありがとう」です、と頭を下げたくなるのです。
先ほどお話しした、自分が楽しそうだったら相手も楽しくなる、と同じよう
「自分のやったこと、行為は、いずれ自分に還ってくる」と考えています。たとえば、忙しい時に何度もナースコールを押す人がいます。そんな時にでも、コールを鳴らしてくれてありがとう。そうして、ベッドに行った時には顔を見せてくれてありがとう、と思うようにしています。
「ありがとう」サイドに気持ちのスイッチを切り替えることで、腹も立たないし、イヤな気分になりません。穏やかな気持ちで仕事に入っていくことができるのです。

患者様からパワーをいただいている。助けてもらっている。
元気になって退院される姿を見るのは、介護士として最高の瞬間です。
昨日まで座れなかった人が座れるようになった。頑張ってリハビリをしている姿を見ていると、うれしさと共に自分も頑張らないといけないと感じます。
こうして患者様に助けてもらっているわけです。
ここでもまた、頑張る姿を見せてくれて「ありがとう」です。
患者様と自分との間で気持ちが行き交う、想いが循環し、良い結果へとつながっていく。これが介護という仕事のもつ、大きな魅力だと思っています。

 


★これからどんな介護士になりたいですか?

介護だけでなく福祉全般に興味があり、心理学講座の資料を取り寄せたりもしています。また、ときどき障がいのある子ども達の運動会や手話カフェに行って、ボランティアでお手伝いをしています。
みんなが笑顔になってくれる介護士になることが、私の夢であり、理想です。

★南港病院へ入職を考えている方にアドバイスをお願いします。

南港病院に入職して、もうすぐ20年になります。なぜ、20年も勤務してこれたのか。
その理由の1つは、この病院が大切にしている「相手の気持ちをかなえたい」のおかげと思っています。患者様が願う「最期は自宅で過ごしたい」を実現するために、職種を超えてスタッフがひとつになり、どんな願いもなんとかしようと頑張る。中卒で心臓病を抱える私を採用してくれたのも、介護の仕事がしたいという私の想いを大切に考えてくれたからでしょう。相手の想いに寄り添う。そんな温かな空気があふれているから、私も今日まで20年、働いてこれました。国家資格である「介護福祉士」の資格も取得することもできました。
私なんて、と考えずに、思い切って門を叩いてください。そうすれば、あなたの前にきっと道は開かれるはずです。


一覧へ戻る