診療部門…外科

南港病院での外科手術について

【ジオン注射】痔の新治療、ジオンの内痔核へ直接注射法

従来方法と比較して出血や疼痛がほとんどなく、
日帰り・一泊入院で治療が可能。

多くの方に"もっと早く治療すればよかった"とご好評いただいています。

ジオンは、中国において内痔核の硬化療法剤として承認されている「消痔霊」の一部を変更したお薬で、硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸を有効成分とする局所注射用配合剤です。
ジオン投与により、血流遮断による止血、痔核の縮小や無菌性炎症によって持続的な線維化による粘膜層、粘膜下層の筋層への癒着・固定を促進し、脱出と排便時の出血を消失させると考えられます。
現在、ジオン注射は、厚生労働省により「講習会を通じて手技を習得した医師」のみが使用を許可されていますので一部の施設のみで使用が可能な状態です。


治療の経過
当日 安静にし、食事はお粥やジュースを摂る様にして下さい。
翌日 肛門部の診察を行います。特に問題がなければ入浴できます。
2~5日後 以後は適宜診察を行います。
10日後 出血の軽減・痔核の縮小
1~2ヶ月後 痔核の退縮

治療に伴う症状

【投与の早い時期】
血圧低下、吐き気、頭痛、食欲低下、肛門部の違和感(通常数日でなくなります)、肛門の注射部位の粘膜が硬くなる(通常自然に治ります)

【投与2週間位まで】
発熱は2週間後まで一過性にあらわれることがあります。予防的に、または発熱が持続する場合には解熱剤を使用することがあります。


虫垂炎

 俗に「もうちょう」 と言われますが、盲腸は右下腹部にある大腸の一部で、その先端に紐のように付着しているのが虫垂です。長さは人それぞれで5-10cm程度あり、大腸の後ろ側に潜り込んでいることもあります。虫垂炎は便などがこの虫垂の中で固まって糞石を作ったり、疲労、暴飲暴食などにより腸内細菌が異常繁殖を起こして炎症に至ることにより起こります。初期は軽い粘膜の炎症から始まり、炎症が進むと、虫垂周囲に膿瘍を形成したり、虫垂が壊死・穿孔して腹膜炎を起こすこともあります。腹部診察、腹部超音波検査、腹部CT検査などで虫垂炎の診断はほとんどつきますが、大腸憩室炎(大腸の壁の小さな袋の炎症)や女性の場合は卵巣や卵管の炎症(附属器炎といいます)などと区別するのが難しい場合もあります。

 手術は通常腰椎麻酔にて行います。右下腹部に約3~7cmの皮膚切開を加えます。全身麻酔が必要になりますが腹腔鏡を使った手術も可能です。虫垂は血管を処理した後にその根本で結紮して切除します。炎症が盲腸に及ぶ場合は回腸と盲腸も切除することがあります。炎症が強い場合には手術終了時にドレーンという管を腹腔内に留置し、体外に出します。これは、腹腔内に貯留する浸出液や血液などを外に出すためのものです。多くの場合、術後 4~7日で抜去します。炎症の程度にもよりますが、炎症が軽い場合は手術翌日の状態をみて食事が可能で、創の状態を観察しつつ術後2~7日で退院可能です。


痔核、痔瘻

 痔核の治療には手術(切除術)、ゴム輪や糸による緊縛結紮療法、薬剤注入による注射療法等がありますが、当院では出血や脱出を伴う痔核に対して、ジオン注4段階注射療法と手術(結紮切除・半閉鎖法:ミリガンモルガン法といいます)を行っています。注射療法は基本的に局所麻酔のみで行い1泊2日の入院加療が必要ですが、翌日外来受診が可能な患者様であれば日帰り手術も行っております。注射療法の適応でない痔核の場合は手術治療が必要になります。手術を行った場合は、創部の状態によりますが、手術当日入院で術後2~7日目で退院が可能です。

 痔瘻の手術には、瘻管を肛門括約筋切開して開放する手術(開放手術)と括約筋を切開せずに痔瘻をくりぬく手術(くりぬき手術)があります。どちらを選択するかは痔瘻の場所や瘻管の走行等を考慮して判断します。より複雑な痔瘻はシートン法といって、瘻管に細いテープを通して膿がたまらないようにして肛門機能を温存する手術を行うこともあります。手術当日に入院していただき、術後は創部の状態によりますが、3~7日目で退院が可能です。


鼠径ヘルニア

 下腹部(鼠径部)の腹壁を支える筋膜・筋肉が弱くなり、腹圧によって鼠径管の間隙から腸管などが、腹膜(ヘルニア嚢)に被われて脱出してきた状態を鼠径ヘルニアと言います。鼠径ヘルニアには、外鼠径ヘルニアと内鼠径ヘルニアの2つのタイプがあります。
 腸管の脱出が多いので、俗に「脱腸」と言われており、多くは手で圧迫すると腸管は腹腔内に戻ります。しかし、脱出腸管が戻らなくなると(嵌頓)、腸管が出口(ヘルニア門)で締め付けられて壊死に陥り、腹膜炎を生ずる可能性があります。自然経過やヘルニアバンドなどでは治癒することはなく、手術での修復が必要です。
 手術には腰椎麻酔や患者様の年齢や全身状態により局所麻酔で行う前方アプローチと全身麻酔で行う内視鏡下手術があります。
 前方アプローチでは鼠径部に約5~7cmの皮膚切開を加え、ヘルニア嚢という脱出腸管を入れた袋を剥離し処理します。現在ではその後、合成繊維でできた網状の人工補強剤(メッシュプラグやプロリンヘルニアシステムといいます)をヘルニアの脱出口に挿入固定し、栓をして腹壁の補強を行う方法が一般的です。最近ではさらに合成繊維量を減らしたり半分は吸収糸(体内で吸収される繊維)で編み上げられた補強剤が開発され、全ての鼠径ヘルニアの患者様にこの新しいメッシュを用いた補強材を使って手術させていただいています。患者様の評判も上々で、確かに術後の異物感や痛みは以前の補強材に比べて軽く済むようです。手術当日に入院していただき、術後の入院期間は約2~3日程度です。
 内視鏡下手術にはお腹の中に二酸化炭素のガスを入れてカメラを挿入してお腹の映像をテレビモニタで見ながら手術するのが腹腔内到達法(TAPP法)と腹膜と腹壁の間に隙間に二酸化炭素のガスを入れて空間を作り、ここに器械(鉗子)を差し込んで手術を行う腹膜外到達法(TEP法)があります。どちらの方法が適切かはヘルニアの状態を考慮して決定します。どちらの方法でも腹腔鏡を用いてヘルニアを確認します。次に、ヘルニア部分に出ている腸と腹膜を内側に戻し、ヘルニアの穴を確認して、腹膜と筋肉の間に補強材をおいて固定します。TAPP法の場合は腹膜を縫合する必要があります。前方アプローチに比べて創が小さく、手術後の痛みが少ない利点があります。


胆石、胆嚢炎

 肝臓で作られた胆汁(消化液)は、胆管を通って十二指腸に流れます。
 胆管の途中にある胆嚢に石ができた状態を、胆嚢結石症(胆石症)といいます。症状がない場合は通常経過観察を行いますが、胆石発作(腹痛、発熱、黄疸など)を起こすことがあり、また胆嚢にある結石が胆管に落ちると総胆管結石となり、黄疸や重篤な胆管炎を起こすことがあります。胆石症に対しては胆嚢摘出術が最も根本的な治療法です。結石溶解薬(ウルソ)は、2~3cm以下の単発の純コレステロール結石に使用することもありますが、溶解するまでに数年を要します。

 手術は腹腔鏡下手術で行い、胆嚢の炎症が軽ければ後述の単孔式腹腔鏡下手術も可能です。逆に胆嚢炎を併発して炎症が高度な場合は開腹手術に変更ないし当初から開腹手術を選択することもあります。手術当日に入院していただき、術後は翌朝から普通に食事が可能で、3~5日目頃に退院可能です。


単孔式腹腔鏡下手術(Single Incision Laparoscopic Sugery, SILS)

 単孔式腹腔鏡下手術は、2009年春フェニックスで行われたアメリカ内視鏡外科学会にて大きな話題となり、日本でもそれ以降多くの施設で行われるようになった手術です。

 従来の胆石症に対して行われている腹腔鏡手術は、直径10mmや5mmの筒(トロッカーといいます)を3~4本お腹に挿入して、そのうちの1つより腹腔鏡をお腹に入れて、ほかのトロッカーから様々な器械を入れて行う手術です。これだけでも大きくお腹を切開する開腹手術に比べると、かなり創も小さく低侵襲なのですが、最近お臍そのものを切開して2cm程の創を作り、そこから腹腔鏡を含めすべての器械をいれて行う単孔式腹腔鏡下手術が開発されました。

 この手術は、創はお臍の中ですので、術後は全くお腹に創がないかのようになるのが最大の特長です(下写真)。炎症や癒着の少ない胆石症、急性虫垂炎などはこの手術が十分可能です。特に創がほとんど目立たないので、若年の患者様や女性に適しているのではないかと思われます。